ディスカバリーへの直進

それは2日目の朝だった。
いわゆる、その生き物が出るというポイント(もはやラグランジュポイントとも言える)その場所で、我々は待った。

刹那。

「いる!」
私は、感じた。
激しい、いや全く逆に風の無い波面のような静けさとも取れる不思議な耳鳴り(耳鳴りというか、ある周波数を持つ音)を感じた。
周囲に殺気がみなぎる。
喰うか、喰われるかの一瞬だ。
我々はサークルフォーメーションを取ることとした。
サークルフォーメーションとは、円状の陣形を取ることにより、360°全方向への死角をなくすフォーメーションだ。
しかし、その完璧なフォーメーションの中でそれは起こった…。
ふと、円の中心で監視役を務めていた女4人組のうちの一人と私の隣の男がコミュニケーションを取ろうとしたとき、隣の男の右腕が空を切った。
その女も何かを感じたように呆然とした表情をしている。
…何かが起こった。
私は、咄嗟に周りを確認するがそれらしい生物は存在していない。
私があまりの恐怖にパニック寸前になっていると、監視役の中の一人オターニ=マーシャ(露)が劈くような声でこう叫んだ。
ツチノコ!?